ワインの基礎知識「ぶどう品種」

ふどう品種による分類

ブドウの種類
ワイン用品種として使用されているブドウは、フランスでは約100 種類、イタリアでは約400 種類におよぶといわれています。また、同じブドウ品種を使用しても、産地の違いなどによりワインはさまざまなタイプとなります。ここでは、世界各地で栽培されている代表的なワイン用ブドウ品種を挙げておきます。
 

■白ワイン用ぶどう

 
①シャルドネ(Chardonnay)
フランスのブルゴーニュ地方を代表するブドウで、酸とアルコール分が豊かです。ブドウ本来の香りは少なく、栽培される土地の自然条件や醸造過程の影響を受けやすい品種です。フランス以外でも、アメリカのカリフォルニアやオーストラリアなど世界中で高品質なものが栽培されています。
 
②ソーヴィニヨン・ブラン(Sauvignon Blanc)
フランスのボルドー地方やロワール地方が産地として有名です。一般的に冷涼な土地で栽培されたソーヴィニヨン・ブランからはハーブ香や柑橘類を思わせる香りがあり、温暖な土地で栽培されたものからはトロピカルフルーツを連想させる香りがあります。近年では、ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランの評価も高まっています。
 
③リースリング(Riesling)
ドイツ各地やフランスのアルザス地方でもこの品種から上質なワインが造られます。辛口やブドウの糖分を残した甘口など、さまざまなタイプのワインができますが、いずれもしっかりとした酸によって、引き締まった味わいのワインに仕上がることが多い品種です。とくにドイツのリースリングからは酸味がきれいで気品のあるワインが造られます。オーストラリアでも高品質なリースリングが生産されています。
 
④甲州
日本固有のワイン用ブドウ品種で、色調は淡く、香りや味わいは穏やかなところが特徴です。フェノール類が豊富に含まれ、独自の丁子の香りや苦味が特徴となります。
近年、栽培、醸造技術の発達にともない、甲州種から造られるワインの品質は大きく向上し、最近では世界的な評価が高まっています。シュール・リー(オリとともにタンク熟成させる) を行ったフレッシュなタイプ、木樽熟成を行ったタイプ、グリ・タイプ(Vin Gris= グレ一色のワイン。黄紫の果皮の色をしっかり出したもの)、そして半甘口、甘口とヴァラエティ豊かなワインが生まれています。
 

■赤ワイン用ぶどう

 
①カベルネ・ソーヴィニヨン(Cabernet Sauvignon)
フランスのボルドー地方が代表的な産地で、色調が濃く渋味のしっかりした、バランスのよい味わいのワインが造られます。長期熟成にも耐えることができ、そして熟成とともにエレガントなワインとなることから、「貴婦人のような」と表現されます。
 
②ピノ・ノワール(Pinot Noir)
フランスのブルゴーニュ地方の赤ワインの主要品種です。キメ細かな酸味と渋みを持ち、ふくよかなボディが特徴です。若いうちは赤い果実やバラのような香りがありますが、熟成とともに枯葉やなめし革のような香りが現われ、動物的なニュアンスも感じられます。長期熟成が可能な重厚なものから軽快なものまで幅のある赤ワインが造られますが、発泡性のシャンパーニュを造る品種のひとつとしても有名です。
 
 
③メルロー(Merlot)
ボルドー地方の代表的な品種です。より早熟で果実味に富み、ボリューム感があり、熟成によりトリュフや動物的な香りが強くなります。ボルドーでは、カベルネ・ソーヴィニヨンとブレンドされることが多く、前者が味わいに骨格、メルローが肉付きをもたらします。世界各地で栽培され成功を収めている品種です。日本では特に長野県から高品質なワインが生まれています。
 
 
④シラー(Syrah/Shiraz)
フランスのコート・デュ・ローヌ地方をはじめ、地中海沿岸地域で多く栽培されています。色調は深い紫色で、黒い果実の香りと共に黒コショウの香りが特徴です。地中海沿岸地域では、ワインにバランスのよさ、上品さをもたらすブドウとして用いられることが多く、オーストラリアのものは「シラーズ」と呼ばれ、ビター・チョコレートのような香りを持ち、コート・デュ・ローヌのものよりもパワフルに仕上がる傾向にあり、産地によって個性が変わるのがシラーの特徴ともいえます。
 
※参考文献/一般社団法日本ソムリエ協会発行 ワイン検定テキスト(ブロンズクラス)より抜粋